2019.9.14.訂正
<目次>
三.駒(初期配置・および駒の性能は別に紹介)
中将棋は縦12マス・横12マス、計144マスの盤上に、敵・味方各46枚・計92枚の駒を配置し、交互に一手ずつ指し進めていくゲームである。
中将棋では取った相手の駒を再び使うことはできず、全て取り捨てで行うゲームである。
駒の種類は初期配置の時点で21種類、成り駒も含めると29種類の駒が存在する。
1.敵の王将(玉将)を詰める、あるいは自軍の駒で敵軍の王を倒した場合(これを「突き落とし」と言います。)に勝ちとなる。<敵将を詰めることが目的の本将棋とは異なります。また、王手宣言も不要です>
2.ただし、敵軍に太子がいる場合は、これも倒さなくては勝ちにはならない。
3.指し手が対局途中で自ら負けを申し出た場合、これを投了といい、申し出た側の負けとなる。
4.両軍がともに駒を消耗しあい駒枯れの状態になった場合、玉将2枚と、歩と仲人以外の駒1枚だけが盤面に残ったときは、駒2枚ある側が勝ちとなる。<歩と仲人については成金(成醉象)に成らなければいけない。>
5.ただし、四.に定める歩兵・香車の死に駒(行かずの駒)は前項4.の勝敗判定に加えない。
6.もし、駒枯れでともに相手を詰めることが出来ないという展開になった場合は、両者の合意によって引き分けと決める(これを「持将棋」と言います)。再対局を行なう場合、先手後手を入れ替えての再対局となる。
7.対局相手が反則手を指した場合、六.に定める規定に従い、反則負けとする場合がある。
中将棋の駒は全部で29種類あり、それぞれをその駒の性能にあわせてグループ分け(格付け)されています。(赤文字は成り駒専用、青文字は不成・成り共に登場する駒です。)
・「歩」の格…歩兵.仲人.
・「小駒」の格…猛豹.銅将.銀将.金将.盲虎.酔象.麒麟.太子(玉将)
・「走り駒」…香車.白駒.反車.鯨鯢.竪行.飛牛.横行.奔猪.
飛鹿.飛車.龍王.角行.龍馬.鳳凰.・「大走り駒」…奔王.飛鷲.角鷹.
・「獅子」…獅子.
・玉将(別格、ただし太子が共にいる場合はどちらか一方が小駒、太子のみが残っている場合は太子を別格として扱います)
駒の性能および駒の配置は別途解説する。
1.駒は、敵陣の外より敵陣の4段目(歩兵の初期配置された段)以奥に進んだ場合に成る機会が与えられる。
2.不成で進んだ場合、一度敵陣より外に退き再度敵陣に進入した時に再び成る機会が与えられる。また、不成の駒が敵駒を取った場合は(敵陣内での捕獲・または敵陣から退く形での捕獲)その時点で成る事が許される。
3.歩兵が不成で進んだ場合、敵駒を取るかあるいは敵陣の最後段まで進んだときに再び成る機会が与えられる。<歩兵の救済措置>
4.歩兵および香車が最後段まで不成で進んだ場合、その場で死に駒(行かずの駒)として扱う。
(5.通信での対局に限り、香車の不成後の扱いも3.の歩兵に順ずるものとする。)
1.指し手は駒が盤面より完全に離れた瞬間、あるいは駒の全てが移動元のマス目より外に出た瞬間を指し駒の成立とする。<指し駒の定義>
2.指し駒の成立後その駒を移動先のマス目に置き、指し手の指先が離れた瞬間を着手の完了とする。これ以降の変更は許されない。<着手の完了の定義>
3.指し手は指し駒が成立した後、その指し駒を変更することはできない。もし相手の手番に1.に定義する状態が成立した場合はお手つきとし、直後の自分の手番でそのお手つきの駒を必ず指し動かさなくてはならない。
4.ただし、3.に定めるお手つきをした駒が配置上身動きの取れない駒だった場合は例外的にお手つきを許すものとする。ただし、同一の対局中に二回まで。三回目は六.の反則の扱いとする。
補足・この規定に関しては、対局会・棋戦での特別の取り決めがある場合に用いられる物で、一般の対局では対局者同士の事前の取り決めによって適切に運用されることが望ましい。
1.千日手は、同一局面(駒の配置及び手順が同じ)が4回出現する前に、仕掛けた側が別な手を指さなければならない。仕掛けた側とは次の場合を言う。
a.連続王手によって同一局面となった場合は、王手をした側
b.一方のみが自駒の利きを敵駒に当てる手を含む変化がある場合は、利きを当てた側
c.(a.b.)以外で、同一手順によって同一局面が出現した場合は、同一局面出現時に手番のある側
d.双方「じっと」を連続して指した場合は、最初にじっとをした側
2.禁じ手・反則は以下に定める行為を指す。
a.駒の動き方を間違えて指す。また、成れない駒が成ったり、裏側の駒が表に返ることも含む。
b.手番の順番を間違えて指す。
c.差し手の変更(通称・待った)
d.五.の4.に定める行為。
3.反則についての扱いは以下の通り規定する。
a.原則として反則行為をしたものの負け。ただし、対戦相手の許可があれば手を戻して対局を続行することができる。
b.反則が数手進んでから気づいた場合は、そのまま対局を進めるか、そこまで手を戻すか、反則負けにするかを対戦相手が決めることとする。
c.反則が終局にいたるまで気づくことなく、勝敗が決まってしまった場合についてはその勝敗結果を優先する。
d.双方が反則をして気付かず進んだ場合(甲が先に反則し、乙があとに反則)
乙が甲の反則に対し、「このまま行こう。」といった後の場合は、
乙の反則に対しb.を適用(ただし、甲は乙を負けにしてはならない。)、
そうでない場合は、(同時に反則に気付いた場合は)双方協議の上、
(1)甲が反則する前の局面まで戻る。
(2)乙が反則する前の局面まで戻る。
(3)そのまま続ける。
(4)引き分けとしてさし直す。
のどれかを選択する。
一.獅子同士が隣接している場合は、無条件で相手の獅子を獅子で取ることが出来る。
二.<獅子の足>獅子同士が1マス間を空けて隣り合っている場合(お互い獅子の利きに入っている状態です)で、獅子に足のある場合(足とはつなぎ駒、つまり自分の獅子を守っている駒です)、その獅子を取ることが出来ない。足がない場合は取ることが出来る。
三.<ウラ足・かげ足>もし、自分の獅子が相手の獅子に攻められた場合、その相手の獅子をまたぐ形で自分の獅子に走り駒の利きをおいた場合、ウラ足といってこれも取ることが出来ない。言い換えれば,仮に獅子が取られた局面を想定した場合に取り返えされる位置関係にある配置にあれば,足の一種とみなします。
四.<先獅子>敵の獅子に、自分の獅子以外の駒が当たった場合は、無条件で取ることが出来る。この場合、自分の獅子に足がついている場合は先獅子の特約が発動し、敵側は直後の一手で獅子を取り返すことが出来なくなる。これを先獅子の得という。麒麟が獅子を取りながら成った場合も先獅子が成立します。
五.<獅子の付け食い>獅子と獅子の間に敵の駒がある場合、この駒を取った上で相手の獅子も一緒に取ることが出来る。これを付け食い(喰い添え)という。付け食いのあとは、すぐに敵のつなぎの駒で取り返すことが許される。これを獅子を討つという。付け食いは,獅子に足が付いている場合に,取れる例外です。ただし、歩兵と仲人は付け食いの対象とはならない。
以下、具体的な例を挙げて紹介します。
この状態、どちらの獅子にも角行・飛車それぞれがつなぎ駒として見方の獅子を守っています。こういう状態のときは、獅子で獅子を取ることは出来ません。つなぎの駒はどんな駒でもかまいません。
注意していただきたいのは、獅子の間に1マス間が空いている状態であるということです。つまり、駒の解説編で獅子の駒図に基づくと、Aの行動範囲に敵の獅子がいる状態を指しています。隣接した状態、つまり@の範囲内に獅子がきた場合は無条件でその獅子を倒すことが出来るのです。
▲7七角行がいなかった場合を想定してください。その場合、1一▲獅子は足が無いので次の後手番で▽獅子にただ食いされてしまいます。
そんな場合に、相手の▽獅子をはさんで▲7七角行と指せば、これも足と認められて▽獅子は取ることが出来なくなります。
これをウラ足またはかげ足といいます。この足はどうしても走り駒でしか出来ませんので、規定にも走り駒と明記されているゆえんです。
相手の獅子を獅子以外の駒で取ることは、足のあるないに関係なくいつでも可能です。この図ではどちらの獅子にも相手の駒が当たっていますね。このような場合で、先に相手の獅子を取った側は、自分の獅子に足が利いていることを条件に先獅子の特約が発動し、相手側は直後の一手で獅子を取り返すことが出来なくなります。
また、自分の獅子をとられた場合、一度王手をかけて1手防がせた後に相手の獅子を取りにかかることを「後獅子」と呼びます。
これは二.の駒図に近いものですが、ここでは獅子と獅子の間に銀将という駒がいます。このような場合、▲獅子は2二・1一と指して銀将・獅子の2枚取りが許されます。このような場合に、間にいた駒のことを付け食いの駒(喰い添えの駒とも言う)と呼びます。 <ただし、歩兵・仲人は付け食いの対象にはなりません。>付け食いで獅子を取った場合は、1五の飛車で直ちに討ち返すことが出来ます。これを獅子を討つと言います。
じっととは、二手移動のできる獅子・飛鷲・角鷹が一手目で隣接のマスに動いた後、元の位置に二手目で戻ることをさし、局面上駒が動くことなく手番を相手に移すような形になるため「じっと」と呼ばれている。ただし以下の条件ではじっとを行使することが出来ない。
1.獅子が隣接する8マス(居食いの出来る位置)すべてに敵味方の駒あるいは盤面の端によって移動先が埋まっているとき(初期配置の獅子も同様)。
2.飛鷲・角鷹の居食いが出来る位置に敵・味方の駒が埋まっているとき、または盤面の端によって移動先が遮られているとき。
また、対局者双方がじっとを繰り返し、同一局面がおきたときは千日手となるため、最初にじっとを仕掛けた側が手を変えなければならない。
持将棋とは、ともに駒枯れで王手がかけられない状態をさします。
右の図の場合、先手が「▲1四酔象成る」で太子となります。その次後手は「▽2五獅子」と指し、さらに「▲同太子」で盤面上にはともに王(太子)のみとなってしまいました。この場合、ともに王手がかけられないので持将棋が成立し、引き分けとなります。
なお、2五獅子と指した時点でその瞬間、駒枯れの勝利規定が成立するように思えますが、すぐに太子が獅子を取り返せるのでこの場合は持将棋となります。
これは後手側の負けのケースです。
一見すると勝負がつかないように思えますが、先手には獅子の「じっと」が出来るのに対して、後手は動かさざるを得ません。3列目に獅子が近づいたらその時点で間駒利かずの王手となり、負けです。だから盲虎が動いた時点で負けが決まります。
(1二の▽盲虎ですが、動ける場所は2一、あるいは2三しかありません。どちらにせよ、▲2三獅子で合い駒きかずの詰めです。 また、2二の▽盲虎も2一か1三しか動けませんので、1三なら同玉将、からの獅子寄せで勝ちです。)。
もちろん、先手がバカな手をして盲虎と相討ちにでもなってしまえば勝敗は変わりますが、そんなことにならない限りは先手の勝ちです。
以下、次の場合も持将棋とされています。