2000.5.20.作成、2001/02/13最終更新

おまけ・大将棋以降の駒一覧表

 

 ここでは、大将棋から泰将棋までと、天竺大将棋も含めた駒の紹介と、その動きについてを紹介していきます。それぞれ初出の駒から紹介していく形です。

 

 まず、大将棋の駒です。

 以上が大将棋からの初出の駒となります。ほとんどが中将棋でも登場の駒なので、そこへの動きの解説ははぶきました。

で、この表の見方ですが、駒の名前と読み方から右部分は、それぞれの将棋にこの駒が登場しているのかどうかを表しています。 

赤字の名前…その将棋に登場し、その成り駒の名前を紹介。

緑字の名前…その将棋に登場し、かつ成り駒がオリジナルのものの名前(おまけ2で紹介)。

…その将棋に登場するが、成り駒はないもの。

…登場するが詳細不明で、先に登場する将棋での成り駒に準ずるものと思われる。

×…その将棋には登場しない。

青字または…『象棋六種之図式』から、新たに判明したもの。

 

 となっています。あと、駒の動きに関しては、上・前、下・後ろ、などと表記がまちまちなところがありますが、別に違いはありませんので、同じと思ってください。

 

 次は天竺大将棋から初出となる駒です。

 天竺大将棋だけは、特殊な成り方と動き方をします。そういうわけで水牛・飛鷲・角鷹を除いてあとの駒はここにしか登場しません。

大将棋初出の駒で、鉄将は金に成りますが、天竺大将棋では竪将となっているのですけど、こういう成り駒が変化する場合にも、天竺大将棋だけは例外のものとして、それ以降の将棋には影響しないものと思ってください(だから大大将棋では再び金に成ります)。※ちなみに、竪将という駒ですが、どうやら竪兵を書き間違えたもののようで、文献上にも名前しか出てこず、動きは記載されていません。

注A…ただしくは、「新」という漢字の右側(斤)が「隹・ふるとり」という漢字です。

 

次は大大将棋初出の駒です。

 この大大将棋が一番初出が多く、当時の人たちが無理やりに作ったという思いが見えてくるようで滑稽でもあります。さて、成り駒に一部変更が加わっています。72の成り駒が仙鶴となりました。

・六種之図式で、もと「台寺・時・鳥」という3文字の駒に書かれていたのは、仙鶴を誤れるなり、と書かれており、そういたしました。(台がへん・寺がつくりの1文字の漢字でしたが、存在しません。)

注B白象についてですが、「象戯図式」にある図と漢字文との食い違いがあり、漢字文の解説から新たに真下方向にも2マスまで進める、と加えました。これで、香象と上下対象の駒になります。

・古鵄についても、泰将棋と同じ漢字の駒である事が分かりました。ですが、駒の動きが異なっていて、注Cと表記させていただきました。

蛮狸、蛮狐ですが、六種之図式では全て「蛮」が「変」の旧字体となっていました。一方、象戯図式ではページによって蛮だったり、変だったりとばらばらです。どちらが正しいのか、判断しかねるところです。

・狛犬はこれまで成り駒無しとしてきましたが、六種之図式には「大象」という駒に成ると書かれていましたので、新たに加えました。

行鳥ですが、これも六種之図式では「行馬」と表記されており、どちらが正しいものかの説明も無く、判断しかねます。

 

そして、摩訶大大将棋初出分です。

 大大将棋で相当数が登場したので、比較的少なめです。

摩訶については、なぜか成り駒が金将という、不思議なことに弱くなってしまう駒が多々あるということが今回判明いたしました。(でも古い文献の言う事って、どこまであてに出来るものやら…)

青字で金となっているものがそれなのですが、その中には飛車や角行といったメジャーなものまで含まれていまして、これはきっと駒の種類が多すぎることへの配慮だったのかもしれませんね。

・それと、摩訶から泰将棋にも共通の法則なのですが、小駒(走りの無い駒)が成ると、全てその方向への走り駒になる、というものです。表中、「奔」の文字が含まれているのがそれで、奔金ならば、金将で動けた方向に走る、ということです。

・もうひとつ、今回判明した特殊なルールとして、無明・提婆の駒を相手方が取った場合、それを取った駒と無明・提婆の駒とをその場で取り替え、さらに法性・教王になった状態にしてゲームを再開するという、とんでもなく将棋らしくないルールです。もし、歩兵が無明を倒した場合、その場で歩兵と無明を取り替え、法性に成った上でゲーム再開、ということです。

 

 これって、結構えげつないルールですよね…。

 

注Dですが、「羯」の文字は、部首が正しくは魚へんです。

 

さぁ、最後は無上泰将棋です。

 ここでは、△マークがありますが、これはその将棋において成り駒としてのみ登場するという事を示しています。

泰将棋の初出は少なく、そのすべてが成り駒のない駒となっています。

・また、これまで銀兎と紹介していた駒ですが、実はウサギではなく、鬼である事が判明しましたのでここで訂正して紹介しました。

 

・自在天王について、文献より説明文を抜粋して紹介します。

「自在王になる行度、こころにまかせ、繋たる馬(以下駒のこと)をば取らず、駒を越え、不正行度す。盤の上いずくということなし、およそ四方四角に行くを正行度とし、中将棋の獅子のごときを不正行度とするなり。」(六種之図式より)とのことです。

どういう解釈にするのかは、皆様にお任せします。

 

注については、それぞれの文中に解説しましたが、@の獅子についてだけ紹介していませんでした。

 

・天竺大将棋以降の将棋の獅子について、従来の獅子の動きに加え、八方向に3マス、あるいは5マス目に飛んで進めるという解説が、「象戯図式」に紹介されていました。ですが、その通りだとすると、次に紹介する法性や教王よりももとから強く、意味がわからなくなってしまうのです。そのため、私個人はこのルールについてはあまり採用する必要は無いと考えています。

 

・今回、「六種之図式」が新たな文献として加わりましたが、双方の文献で駒の動きが大幅に異なり、非常に混乱しています。ただ、所感として、六種之図式の解説にはかなりいいかげんなところが多く、後代の人が書き直したときにそうとう間違ってしまったのか、それとも当時からかなり記憶があいまいになってしまっていたのかと思われます。 ちなみに、私のホームページでは、一部の駒を除いて全て象戯図式の動きを採用しております。

 

・6.23.付けの最終訂正個所

「48・南蛮」…説明どおりの駒の動きでは、前に進むことができず、成る事ができません。一応白象に成る駒ですので、何らかの訂正が必要だと思います。(北狄と上下対象の動きが妥当だと思っています。)

「62・馬」…上3方に2マスまで、としていましたが、説明文では上下左右に1マス、となっており、真上については1マスのみと訂正いたしました。

「79・大龍」…上下左右、斜め下に3マスまで、としていましたが、資料の説明文を元に訂正しました。なお、ややこしい駒なので、詳しく図説します。(おまけ3へ)

「81・前旗」…下3方1マス、としていましたが、正しくは2マスまでということでした。

 

  2001/02/13付けの訂正

一部読みに訂正を加えました。