2000.12.17.作成
前々から軍人将棋も紹介したかったのですが、子供のころに手に入れた軍人将棋が見つからず、ようやく見つかったのでその解説書に基づいて説明していこうと思います。
図1.盤面紹介
このような盤で対戦します。
対局の際には立会人を必要とするので、どうしても3人以上が必要です。
それぞれ図2の駒を全て裏返しにして配置し、並べ方が重要な戦略となります。
お互いの駒が重なった場合、普通の将棋でしたら重ねた側が勝ちですが、この軍人将棋では立会人がそれぞれの駒の強弱を判定し、強い側が勝ち残ります。そのため、討ち死にということも多いです。
対局者は、相手の駒の役を推理しつつ、いかにうまく相手を倒していって総司令部を占領できるかが勝敗となります。軍人将棋では大将が倒れようとも関係なく、総司令部を占領した側が勝ちとなります。
各軍23枚の駒を使います。
・大将/中将/少将/大佐/中佐/少佐/騎兵/スパイ/軍旗…それぞれ1枚。
・大尉/中尉/少尉/地雷/工兵/タンク/ヒコーキ…それぞれ2枚。
・工兵は一回に縦または横へ何マスでも動けます。
・タンクと騎兵は一回に前方へ2マス、後ろまたは横へ1マス動けます。
・ヒコーキに限り、どこからでも敵陣へ進入できます。また、縦には何マスでも動けますが、横には1マスしか動けません。
・地雷と軍旗は動くことができません。また、突入口には置けません。
・上記以外の駒は全て前後左右に1マスのみです。
図2.駒の勝負表
大将はほとんど全ての駒に勝つことができますが、スパイと地雷にのみ、負けてしまいます。そのように見てください。
スパイは、大将にのみ勝つことができる特殊な駒です。
地雷は、たとえぶつかった相手に勝ったとしても、爆発したとみなされ盤から取り除かれますので、一度限りの使い捨てです。
軍旗は動くことができませんが、たとえば軍旗の後ろに大将を置き、それで相手にぶつかられて負けた場合、その相手の駒はスパイであることが確定します。そういう駒です。
あいにく同じ役駒同士がぶつかった場合の規定がかかれていなかったので、相討ちになるのか、指しなおしになるのか不明です。知っている方、ぜひご報告を…。
・立会人(審判官)は、重なり合った駒を競技者に見えないように見比べ、駒の勝負表に従って、負けた側の駒を盤面から取り除きます。勝った側の駒は盤に戻します。
・総司令部を占領できる駒は、大将・中将・少将・大佐・中佐・少佐に限られます。もしその6枚の駒が全てやられてしまった場合は、降伏宣言となります。
・どうやら、ぶつかった駒同士が同じ駒の場合は、相討ちとして両者共倒れになるそうです。
ところで、この将棋の生い立ちについて知っている方がいられたらぜひ教えていただきたいです。
この軍人将棋の発生はあまり知られていませんが、一説によると第2次世界大戦(太平洋戦争)のころにブームとなり、終戦後は姿を消してしまったと言われています。
また、この盤面を見ると、とても中国将棋・韓国将棋に似ているのが特徴的です。両軍の間に河があり、ともに突入口以外からの駒の侵入が原則的に出来ないという点など、非常に似ている所が多いのです。
もしかすると、太平洋戦争あるいは朝鮮・満州侵略時の植民地時代に、当時の日本人が現地の将棋をもとに創作した将棋であるのかも知れません。そう見るのがとても妥当に思えて仕方がありません。
・なお、私が確認できた軍人将棋のバリエーションは、上記を含めて2種類確認しております。おそらく後期には原爆などの駒も登場するみたいですね。そんな駒、本来なら一発で全滅になるべきものだと思うのですがゲームではどうなんでしょう?