作成2000.9.18. 更新2005.5.10.
資料がありながらも紹介を逃していました和将棋について、ここでまとめて紹介していきます。
今までに紹介してきました将棋はほぼ同じ系列のものと見ることが出来ますが、和将棋・禽将棋については正規の系統からは大きく異なります。それは駒の名称が全く異なる体系だからです。(天竺大将棋も亜種ではありますが、どちらかというと正規の系統に寄ります)
萑歩という駒が、一般的には歩兵と呼ばれる駒なのですが、どうも表示してくれないみたいなので不安です。
(くさかんむりに隹が正しい表示です)
さて、これまでに紹介した将棋と異なるポイントは、駒がすべて左右対称になっていないところです。また、動き方も異なります。名称が動物・主に鳥類からとられているのも系統が異なるとする理由です。
正しい読み方が分からないので、漢字毎の読みをもとに推定していますが、なにか情報があればお待ちしております。
では、ここからは駒の動きについて紹介していきます。
一.萑歩(すいふ・かんふ)⇒成ると金鳥(きんちょう)
それぞれ、将棋の歩兵・金将と同じです。(海外サイトでの逆日訳から、「雀歩、じゃくふ」と読むのが妥当だとご指摘をいただきましたので注記させていただきます。)
二.走兔(そうと)⇒成ると三.隠狐(いんこ)
ともに初期配置で登場しますが、隠狐が上位のようです。隠狐は成り駒がありません。
「はしるうさぎ」は斜め上に走り、上と下三方に1マス。
「かくれるきつね」は上下に1マス、下斜めに2マスまで貫通します。
四.牛車(ぎゅうしゃ)⇒成ると丹牛(せんぎゅう・「丹」は、上部に「止」がつく漢字です)
牛車は香車と同じです。ただし、成ると丹牛となり、王将と同じ動きになります。
といっても王将ではなく、あくまで同じ動きになるだけです。
五.盲犬(もうけん)⇒成ると六.猛狼(もうろう)⇒成ると熊眼(くまめ?)
盲犬が成ると猛狼、初期配置の猛狼が成ると熊眼となります。
それぞれ左図のとおり動きます。
七.風烏(ふうう)⇒成ると天馬(てんま)
かぜのからすと書きます。前に走り、斜め後ろに2マスまで。
成ると天馬となり、四方に3マスまで進みます。
ただ、文献には桂馬の如しとの一文もあり、併せ持つのかどうかか疑問点です。
八.登猿(とうえん)⇒成ると九.猛鹿(もうろく)⇒成ると行猪(ぎょうちょ)
猿・鹿ともに初期配置として登場します。鹿が成ると猪です。
それぞれ登猿は斜め1マス、猛鹿は銀将、行猪は酔象の動きをします。
十.鳥行(ちょうぎょう)⇒成ると十一.飛鷹(ひおう)⇒成ると鶏鷹(読み不明・「鶏」は鳥ではなく「力」)
鳥行は前と斜め後ろに1マス、飛鷹は角行の動きにと前1マス、
鶏鷹は中将棋の飛鹿と同じです。
十二.鴟行(とびぎょう?)⇒成ると十三.雲鷲(うんじゅう)
鳥行と同じ動きですが、成りは異なります。
雲鷲自身に成りはありません。前後に走り、斜め前には3マスまで、それ以外には1マス進める最強の駒です。なお、3目の内自在歩との記載があり、別の駒での2マス移動出来る駒と、何らかの差別化があるのかもしれません。
十四.鶏飛(けいひ)⇒成ると延鷹(えんおう?)
鶏飛は両斜め前と横に1マスです。延鷹はそこに前後への走りが加わります。
十五.鳫飛(がんひ)⇒成ると十六.燕羽(えんう)⇒成ると燕行(えんぎょう)
鳫飛は斜め前と後ろに1マス、燕羽は横行と同じ、燕行は飛車と同じです。
十七.王(かくおう)
王将と同じです。ちなみに鶴の王という意味になります。
なお、文書の省略を兼ねて駒を3段階に説明している個所がいくつかありますが、2度成りが出来るわけではありませんのであしからず。あくまでも成りは一度だけです。